形意拳 【詳細版】 中国古代哲学を背景とする剛強な武術

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高次の理論をもつ強猛な拳術

形意拳、心意拳、心意六合拳、これらは山西省に源を発した、同じ流祖を持つ武術である。各派伝承者のなかには実戦で名を成したものが多く、強猛な威力を秘めた実戦武術としての実力は中国武術界でも広く知られている。「形意」と「心意」は、北京語で読めばどちらも「シン・イー」であり、発音的には同名となる。歴史的には心意のほうが古く、後になって「形意」の字が用いられるようになった。

形意拳は八卦掌、太極拳と同じく内家拳のひとつに数えられ、道教的な哲学思想を背景にもち、養命にも効果がある武術とされている。陰陽五行説に基づいた高邁な理論を持ちながら、実戦となれば強力な発勁で必倒の威力を発揮し、内家拳のなかでも実戦の高さで知られている。

形意拳の遠祖・神槍 姫際可

太極拳の源流である陳家溝で発見された「心意六合拳譜」の序文には、心意六合拳が山西省の龍凰姫という槍術に精通した人物によって創始された由来が記されている。
「拳法の類は一にあらず、その初めは何人の創始かを知らず、思うに六合は山西 龍凰姫先生より出る。先生は明末の人なり。槍法に精通し、人は呼んで神となす」

また、戴氏心意拳の祖である戴龍邦が著した「心意拳譜」では、流派の元祖を岳飛としたうえで、岳飛の武術を受け継ぐかたちで、姫際可という武術家の名が挙げられている。同著では「姫公、名を際可、字を隆風」となっており、「心意六合拳譜」にいう「龍凰姫」とは字が異なるものの、おそらく同一人物をさしているものと思われる。

この「心意拳譜」で岳飛の名が挙げられていることから、形意拳の祖は岳飛という論が広まっている。南宋の名将・岳飛は、みずから武術を練って兵に伝えたといわれ、岳飛を祖として伝える門派は多い。しかし形意拳の歴史においては岳飛の名は伝説の域を出ておらず、実証は難しい。

姫際可については、「姫氏族譜」に名をみることができ、実在の人物であることがわかっている。姫氏一族は明初期に山西省洪洞県大槐樹から蒲州諸憑里尊村に移り住んだ一族で、際可は明朝万暦年間(1573~1620年)の生まれという。大槐樹は、太極拳で名高い陳氏一族のもともとの出身地だといわれているが、姫氏一族が、陳氏と同じ土地の出身であることは興味深い一致といえる。際可については、「武勇はこの上なく、流賊を村の西で防ぎ、みずから巨魁をたおした。人々は神槍と号し、芸を河南に伝え、今でも人々は夫子として尊んでいる」と記されている。

際可は「神槍」と呼ばれるほどの槍術の達人であり、のちに槍術から拳術を編んで人々に伝えた。これが心意拳、心意六合拳となり、さらに形意拳へと発展してゆく。
ここで気になるのは、際可が「芸を河南に伝え」たという記述だ。河南省には有名な嵩山少林寺があるが、際可の子孫である姫祥和が著した「先祖姫際可伝略」には、「際可は少林寺に10年住み、多くの人に伝授した」とある。ここから少林寺に伝わる秘伝、心意把と姫際可の関連性が見えてくる。

形意拳を確立させた李洛能

姫際可はみずから編んだ拳術を弟子に教授したが、そのなかでは、河南省の馬学礼(18世紀)と山西省の曹継武(17世紀)が傑出する(曹継武は実在の人物だが、姫際可との関係を疑う説もある)。
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曹継武の心意拳は戴龍邦、麟邦の兄弟に受け継がれ、戴氏心意拳として現代まで伝承されている。そして戴氏心意拳を学んだ河北省の李洛能(19世紀)が「形意拳」を名のって広く民間に伝えるようになる。一説には李は戴龍邦から学んだといわれるが、龍邦が著した「心意拳譜」の著述年と李の生年が100年近く離れているため、実際は戴氏の子孫から学んだ可能性が高い。

李は「神槍李」と呼ばれるほどの巧手であり、当時、門を閉ざして教えるものを親族などに厳選していた心意拳の考え方を廃して、広く民間に伝えていった。李は山西省に住む富豪の護衛を務めて山西の宋世栄、車毅斉、宋世徳、河北の郭雲深、劉奇蘭、劉暁蘭、白西蘭が広く名を知られ、こののち、形意拳は山西派と河北派に大きく分かれていく。
河南の馬学礼の流れは、河南派形意拳と呼ばれることがあるが、その実態は心意六合拳であり、形意拳と源を同じくしながら、技法の内容、理論ともにかなり趣の異なる武術になっている。

陰陽五行説に基づいた拳理

形意拳の大きな特徴は、陰陽五行説にもとづく理論化がなされている点にあるともいえる。形意拳の技法と陰陽五行説との符号は、曹継武、戴龍邦、李洛能と、年代を経るごとに整備され、李の時代になって現在の形意拳の体系に整えられたと考えられている。
五行相関図
曹継武が残した「曹継武十法適用」には、三節、四梢、五行、身法、歩法、手法、足法、上法・進法、顧法・開法・截法・追法、三性養気法、内勁という10の要訣が示されている。このなかに「五行」の文字は見られるが、現在のような「五行拳」は見られない。次代の戴氏心意拳では五行拳が見られるが、その風格は形意拳より心意六合拳に近い。そして李が形意拳と名のってはじめて、三体式と呼ばれる、後七分・前三分の姿勢を基本とし、五行拳・十二形拳で拳を練る体系が整えられたのである。

形意拳の基本といわれる五行拳は、陰陽五行説の五行(木、火、土、金、水)に対応した、劈拳(金行)・鑚拳(水行)・崩拳(木行)・炮拳(火行)・横拳(土行)の5種類で構成されている。さらに十二形拳には龍形拳・虎形拳・猴形拳・馬形拳・黽形拳・鶏形拳・鷂形拳・燕形拳・蛇形拳・鳥台形拳(「鳥台」の二文字は「1文字」)・鷹形拳・熊形拳の12種類がある。

形意拳の技法は、前身となった心意拳がはげしく野性的に身体を使うのに対し、洗練された動作で攻防を行う。その技は他派に比べれば非常に単純であり、容易に学べそうな印象を与える。しかし、形意拳の要求する動作を行うのは非常に困難であり、修行者はひたすら型を反復し、技を練る必要がある。

一見して簡素に映る技法は静的でもあり、太極拳、八卦掌と並び称される内家拳という印象にふさわしい。しかし、真伝を得た人の一撃には容易に敵を殺傷してしまえる大きな威力が秘められており、実戦で名高い心意六合拳とくらべても、まったく遜色のない威力を秘めている。過去の形意拳士でも、名手と呼ばれたような人物はわずかに動いただけで相手を倒したのである。

また、形意拳の実戦ではすべて前進しながら技を発し、相手の攻撃や防御に構うこと無くはげしい攻撃を行う。華美な拳を求めず必倒の一招で相手を制す、質実剛健の拳技が形意拳の真髄なのである。

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