有酸素性運動の処方:呼吸循環系持久能力 最大酸素摂取量(Vo2max)

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Ⅲ 有酸素性運動の処方

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1 運動処方と運動プログラムの作成

我々は、運動処方という言葉だけでなく、運動プログラムの作成という言葉も教科書などではよくみかける。運動処方という言葉は、どちらかといえば治療的な立場において使われてきた。

2 運動プログラムおよび運動処方の目的

運動プログラムや運動処方の目的は、まず呼吸循環系機能を適当なレベルまで向上させることである。呼吸循環系機能が向上することは非常に重要である。腕の筋力がないために死ぬことはないが、心臓が弱いことは生命に関わる。また筋力や筋持久力、適当な関節可動域や柔軟性、また精神的ストレスに対する抵抗力などを向上させることも重要である。クライアントが最も重要とすることは、見た目を良くすることかも知れないが、クライアントの健康に関連する行動に変化を起こすことが肝心である。

3 運動処方・運動プログラムを構成する要素

運動処方あるいは運動プログラムを考える場合、有酸素性作業能力、筋力あるいは筋持久力、関節可動域や柔軟性、いずれについても5つの基本要素がある。運動形態および種類、運動強度、運動時間、運動頻度、トレーニングの進行過程である。

3.1 用語の定義

3.1.1 有酸素性運動

酸素を利用してエネルギーが供給される運動である。このようなエネルギー供給系を、有酸素性機構と呼ぶ。一般的には、非乳酸性機構は瞬時の運動時、乳酸性機構は短時間運動時に、有酸素性機構は長時間の運動時のエネルギー供給を主に行うとされている。しかし、実際の運動時には、これらの供給機構のある1つに依存しているのではなく、全ての機構によって同時にエネルギーが供給されている。ある運動が有酸素的か無酸素的か、ということが話題になる場合、実際はその運動において、どの機構によりエネルギーが主に供給されているかを考えている。

運動の強度と時間から、この3つのエネルギー供給機構を考えてみる。まず瞬間的に大きな力を発揮するような場合、一般的に非乳酸性機構によってエネルギーは供給される。運動の時間が長くなるに従って強度は徐々に低下し、非乳酸性機構によるエネルギー供給は減少し、乳酸性機構によって主にエネルギーが供給されるようになる。そして、さらに運動時間が長くなると、最大努力で行っても、非乳酸性機構と乳酸性機構によるエネルギー供給は減少し、有酸素性機構によるエネルギー供給が高くなる。

運動の種類からみると、最大努力でウェイトを持ち上げたり、高く跳び上がるといったように瞬時に大きなパワーを発揮する運動は、アデノシン三リン酸(ATP)をエネルギー供給に利用する非乳酸性機構により行われる。そのうちアデノシン三リン酸とともにクレアチンリン酸も利用されるようになる。そしてさらに運動が続けられる場合(200mあるいは400m走などのような運動)、乳酸性機構が主な役割を果たすようになる。そして、有酸素性の持久的な運動になると、グリコーゲンと酸素を利用することによってエネルギーを得る。

3.1.2 呼吸循環系持久能力

基本的に、酸素を効率よく利用する能力を意味する。大筋群を使う運動を長時間行うような場合に関係する。この能力は、中枢の循環系と末梢の循環系の機能、つまり中心より多くの血液と酸素を血管を介して筋肉に送る中心循環系の能力と、筋肉が酸素を利用できるように血液からより多くの酸素を取り込む抹消循環系の能力を向上させることによって達成される。

3.1.3 最大酸素摂取量(Vo2max)

有酸素性パワーとか、呼吸循環系能力といった言葉は、ほとんど同じ意味である。最大酸素摂取量とは、身体が酸素を最大限に使うことのできる能力である。これは、有酸素性パワーの機能的能力の評価でもあり、酸素を利用する能力でもある。酸素をより多く利用できる人は、有酸素的な能力が高いことになる。例えば、トレッドミル上での走運動において徐々にトレッドミルの傾斜が上昇する場合、それに伴って酸素摂取量も増加する。つまり、ある量の仕事をするためには、ある量の酸素を必要とするのである。例えば、1kg・mの仕事をするには、1.8mlの酸素が必要になる。

しかし、仕事の量を増加しても(先ほどの例であれば、どんどん傾斜を増やしていっても)これ以上酸素を取り込むことができなくなるポイントがある。これが最大酸素摂取量である。最大酸素摂取量は、一般的に実験室などの設備が整っている場所で測定される。

一般的にパーソナルトレーナーが使う運動負荷テストは、トレッドミルや自転車エルゴメーターを用いての最大下テストで、そこから最大酸素摂取量を予測するものであろう。まず心拍数と酸素摂取量の関係をみる。心拍数と酸素摂取量は直線関係にあることが知られている。心拍数と酸素摂取量も値から回帰直線を引き、その人の推定最大心拍数を切片として引いた線と回帰直線との交点から、垂直を下ろして交わる点が推定の最大酸素摂取量となる。

例えば、AとBという二人の人間について、心拍数と酸素摂取量の関係を図にしてみると、同じ酸素摂取量に対して、Aに比べBのほうが心拍数が低いことがわかった。つまり、AとBが同じ心拍数であれば、Bのほうがより多くの酸素を摂取していることになる。そして同じように心拍数と酸素摂取量の関係から回帰直線を引き、推定最高心拍数から最大酸素摂取量を推定すると、Bのほうが最大酸素摂取量が高くなる。同様のことが個人のトレーニング経過に伴った反応に認めることができる。前述のAのための運動処方を考えると、同じ心拍数を運動強度として設定しても、酸素摂取量はBとは異なる値になる。Aが、心拍数160拍/分で、1分間に1.2mlの酸素を摂取しているとき、Bは同じ心拍数でももっと多くの酸素を体内に取り込むことができる。しかし、Aは定期的に有酸素的な運動を行うことによって、酸素を摂取する能力が高まり、同じ酸素摂取時の心拍数を減少させることができる。

もちろんこの方法には限界があり、実際に最大限まで運動をしたときに得られる最大酸素摂取量ほど正確な値は得られない。その理由として、最大心拍数の推定値を用いることがあげられる。推定最大心拍数は、220から年齢を引くことによって計算する。しかしながら、推定の最大心拍数にはおよそ±10~12拍/分の大きなばらつきがある。

トレーニングの結果、安静時の心拍数が低下するのは、1回拍出量の増加によって血液の輸送能力が高まって、心拍数を増加させずに同じ酸素や血液の量を送り出すことができるようになった結果である。


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カンフーフィットネス補足

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  • NSCA-CPT、健康運動実践指導者の合格者がカンフー指導にあたっています。
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