膝関節の靭帯損傷:運動による外傷と障害

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バーベルスクワットを行う女性


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Ⅵ 運動による外傷と障害:膝関節の靭帯損傷

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3 運動により発症する外傷例

3.9 膝関節の靭帯損傷

スクワットの下降相での失敗は、膝の十字靭帯や他の組織に外傷を発生させる場合がある。膝の過屈曲は膝関節にとっては危険な肢位であり、外傷の危険性が高まるので注意が必要である。オリンピックリフターを目指すのであれば、臀部が踵に接触するのに十分な股関節、膝関節、足関節の柔軟性を獲得する必要があり、これが達成されたうえでオリンピックスタイルのフルスクワットが許可されるべきである。可動域が十分でない場合は、まずは可動域の獲得を目指すべきであり、そのためには筋肉、腱、靭帯、軟骨などの組織に十分な柔軟性が必要となる。従って、トレーニングの実施にあたっては定期的に柔軟性を評価することが望ましい。多くの男性、特にデスクワークをしている人は、大腿四頭筋が柔軟性を失って膝に十分な可動域がない場合がある。その状態で大腿部が床と並行となるような深いスクワットを行うと、その膝の可動域を越え、外傷を招く危険性があある。

世の中には膝の靭帯が生まれつき緩い人も多い。反張膝は膝の後面が緩いために起こり、膝蓋骨が膝の全面で大腿骨から浮いた状態になりやすい。大腿四頭筋が収縮しても、膝蓋骨を大腿骨に押さえつける力を生じないためである。したがって、このような人に積極的に膝伸展運動を行わせると1週間程度でヒザ痛を訴えることとなるため、低い負荷から徐々に負荷を増大させることが大切である。また、反張膝があるような人では、下肢のみならず上肢についても注意が必要である。

フルスクワットを行うにあたり、膝の十字靭帯には注意を払う必要がある。膝の十字靭帯には前十字靭帯 anterior cruciate ligament後十字靭帯 posterior cruciate ligament があり、大腿骨に対する脛骨の前後の動きを制動する機能を有している。クライアントがバーベルを担いでいるときに、通常では考えられないような行動がみられた場合には、何か問題が生じたものとして対処する必要がある。1つの例をあげる。ある高校のフットボール選手で身長が少なくとも6フィート4インチ(約193cm)、体重が300ポンド(約136kg)はある大男が、80ポンド(約36kg)を担いでスクワットを開始した。膝屈曲角が90度に達したところで挙上不能となり、右方向から床に倒れ込んだ。この例は、6フィート4インチの体格によって筋力レベルが正確に評価されなかった例である。すなわち、体格から判断して強いはずと思い込まれがちだが、実際には90度のスクワットで姿勢の保持ができず、挙上が不可能となってしまった例である。実は、彼は前十字靭帯を損傷していた。彼には明らかに自分自身を支える脚力がなく、つぶれた際の力(体重+負荷)☓移動距離がそのまま十字靭帯に負荷されたと解釈される。皮下脂肪の多い人では筋力が弱く、膝に限界を越えたストレスが加わる例は多い。

内側側副靭帯 medial collateral ligament もまた強いストレスを受ける靭帯であり、特に膝の屈曲に対して緊張して動きを制限する。内側側副靭帯の断裂は、下肢外側への外力だけではなく膝の屈曲によっても起こりうる。レッグプレスマシンでウェイトを押すために膝を最大限に屈曲した状態では、すべてのストレスがこの靭帯に加わってくる。このとき、十分な筋力がないためにウェイトをコントロールできなければ、ウェイトを下ろす局面(エキセントリックな動作局面)が特に危険である。

参考 膝関節の靭帯損傷

関節外の内・外側側副靭帯損傷や関節内の前・後十字靭帯損傷が代表的である。膝の外傷で歩けないほどの痛みや顕著な腫脹があれば、必ず病院を受診するべきである。靭帯損傷だけでなく半月板損傷や軟骨損傷を合併していることも多い。

前十字靭帯:膝の関節内靭帯で大腿骨に対し脛骨が前方にずれないように固定している靭帯。全例が手術とはならないが、運動時に脱臼感を生じる場合などは各種再建術が行われる。

後十字靭帯:前十字靭帯と同様に関節内に存在し、前十字靭帯と十字を形成し
交叉している。大腿骨に対し脛骨が後方にずれないように固定している靭帯。前十字靭帯損傷に比べ受傷頻度が少ない。日常生活レベルでは損傷していても不都合を生じることは少ないとされるが、動揺性が強く亜脱臼感を訴える場合は手術する。

半月板:大腿骨と脛骨の間にある線維軟骨でできたショック吸収材。関節面の適合性を高め、荷重を分散させる機能も持つ。異常な関節の動きで関節間に挟まれ引きちぎられる。断裂するとほとんど手術で切除するか縫合せざるを得ない。


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