八極拳の真実を語る。拝師・伝統武術家としての依鉢を受け継ぐ

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陳式太極拳

【八極拳の真実を語る】拝師・伝統武術家としての依鉢を受け継ぐ

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拝師・伝統武術家としての依鉢を受け継ぐ

鼎談 八極拳の真実を語る

(以下、敬称略)

(松田)昔は正式弟子になるのが大変だった。現在でも伝統武術家の間には拝師の風習は残っているんですか。

(李)僕のときは、ちゃんと先生に拝師しましたけどね。映画じゃないけれど、先生が真ん中に座って、酒をみんなで飲んで、それで弟子になる学生が通されて、頭をちゃんと地面につけて礼をする。ちゃんとやるんですよ。今は学生の自由で、そういうかたちでやりたい人はやる。先生は別に望まない。

(張)私も許家福先生に拝師した。拝師したら先生は親と同じ。昔は、中国の家の中にはお線香を上げる祭壇があったが、そこには「天地君親師」と必ず書かれていた。

(李)必ず敬わなくてはいけない五つのうちに先生が入っている。天と地と皇帝と親と先生。昔から中国人は大切にする。でも、今はあまり大げさにできにくくなっている。辺りによくないしね。拝師は弟子にとってみれば一つの宣誓ですね。たとえ自分の頭が飛ぶことがあっても、自分は八極門の名誉を守りぬく。

(張)八極拳の伝統を命に代えても守りぬく。

(李)まず、無意味なケンカをしない。悪いことをしない。先生を大事にする。もし先生が歳をとって、生活の面倒を見る人が身近にいなかったら、僕が養老する。

(張)自分の先生は師父、他の先生は師傅と書く。発音は同じだけど字を書くときには区別する。

(松田)よその先生と自分の先生を区別するために。

(張)だから親と同じ。弟子は息子と同じ。

(李)だけど拝師は誰でもできるものじゃない。一般の人は拝師を望んでもダメなんです。先生に誠意が通じた人じゃないと。やっぱり、自分が拝師していないと、いろんな点で不安になるもんですね。

(張)教える方も教わる方も気持ちが違う。

(李)僕は三年目くらい。そろそろ日本へ行かなくちゃいけない頃に、拝師ができました。最初は、先生とそんなに関係が深くないけど、三年くらいたてば、どんな人間かわかる。

(松田)李さんは早い速度でたくさん習ったんでしょう。他の人と比べて。

(李)ヘリコプターみたいだった(笑)。早すぎる。自分でも伝統が重たい。僕は日本に帰るからって無理して先生が教えてくれた。僕はまだ年数が少ないでしょう。それで、二十二年くらい八極拳をやっている趙平という兄弟子といっしょに八大招式と六肘頭を習った。でもあの人が六肘頭やるのと僕がやるのとは、いっしょに習ってもぜんぜん違うよ。あの人はうまい。強い。でも、今の人は昔の人と違って、いっぱい拳法を覚えるのは良くないと思う。

(張)そう。拳法は一つだけ。冲拳ひとつだけしっかりやれば勝てる。きれいな動作を数多く覚えるよりも、強くなれる動作をしっかりと覚える方がいい。

(李)今の日本の若い人は蛇拳をやりたいとか、酔拳をやりたいとかいうのね。ジャッキー・チェンの映画の影響でしょうね。

正しい八極拳を日本に

(松田)なるほど。張先生や李英さんは、日本でカンフーをやっている人たちをどう思われますか?いま、日本では拳法ブームで、いろんな若い人がいろんな拳法をやっているけど。

(李)僕はいっぱい思うことがある。まず体のことからいうと足が弱い。体が固い。たとえば、近所の公園へ朝行くと、小学生くらいの子供とたまにいっしょに練習するけど、びっくりするくらい体が固い。痛いから足を上まで挙げない。体が違うのは、食べ物のせいなのかな?

(松田)最近の日本の若い人は、情報が多いから、すぐに新しい拳法とか新しい套路を学びたがるでしょ。散打などで殴り合いを、もっとやって痛い思いをしなければダメだね。中国拳法には痛い思いをしたくないけど、強くなりたいなどと思っている若者が多くて、苦々しい。本当に体得しようと思ったら命がけだよ。

(李)そう。今の若い人の一番の問題はそこですよ。套路がたくさん欲しい。ひとつ順序が終わるとすぐに次の套路へ進みたがる。

(張)だから強くならない。套路を覚えてから練習がはじまる。套路だけあって練習がない。強くならないよ。

(李)本当は套路を覚える前に基本をやらなくちゃならない。いくら套路を練習しても基本がなければ、「型だけ、型だけ」っていつまでたてもいわれてる。でも、何よりも美しい型が好まれるってのは、やはり映画の影響おでしょう。でも、僕らは俳優じゃないし、人に見せるために八極拳をやってるんじゃない。色々なものをできる必要はないです。本当にその形がうまいかどうかは試してみればすぐにわかることなんですよ。カンフーのない人は、ニ、三発ですぐ…。(笑)それ以上は言えないけど。

(松田)もう言っちゃってるよ(笑)。でも、日本では、あっちの拳法を習ったら、すぐこっちの拳法を習って、ひどいのになると、先生に内緒で同時に何人もの先生について拳法を習っているのもいる。

(李)中国では、そんなことは決して許されないですね。

(松田)卒業前に同時に二人の先生に学ぶのは、学校形式の道場でない限りは、僕の場合(武壇)はそうだったけど、さもなければ先生に対して非常に失礼になる。

(李)僕も他の拳法を勉強したいけど、その力がない。時間もない。自分がやってる八極拳もまだうまくできないのに、他の拳法を習うことはできない。八極拳の深さは、本当に深いですよ。

(張)できたら一回天津にテレビでも撮りに来て、本当の八極拳の見どころを紹介してくれるといい。映画でも八極拳が出てくるのは見たことない。

(李)中国では八極拳の本はまだ出ていない。香港のカンフー映画は南拳ばっかりだし。

(張)八極拳の強さは表に出にくい。カンフーは見えないから。でも、八極拳がすごいということは、日本の方がよく知られている。松田先生のおかげだ。

(李)松田先生の発表で八極拳がどんどん有名になってくるから「八極拳ができる」という人がたくさん出てきた。でも、僕らが見るとウソか本当かすぐにわかる。

(松田)上手とか下手とか関係なく、手の形や立ち方でも、先生について学んだか、どうかはすぐに分かりますね。

(張)動くのを見ればもっと分かる。八極拳の三盤合一による発勁は、先生に正しい指導を受けてないと、まったく功夫(威力)がない。

(松田)今の中国では八極拳を長拳と同じ要領で表演する人が多いですね。足だけドシンと踏み出せば八極拳だと思っている人もいる。八極拳本来の勁道は三盤合一で、足の踏み出し方を変化させることによって、やがては音を立てずに発勁することができる。また発勁の変化に合わせて用法も変化していくが、八極拳の応用変化は瞬間的なもので、誰が考えたのか、実に巧妙だね。

*最後に皆さんの今後について離してくださいませんか?

(李)八極拳が有名になったからといって、僕はあまり世に出たくない。ただ八極拳が好きだから、思い通りに練習を続けたい。

(松田)今まで通り中国武術の歴史と技術の真実を追求して、ハッキリした真実を発表し続けていくだけです。技術に関しては日本人の僕には一代では、年齢的に限りがあるので、次の世代の人達がより正確に発展してくれるでしょう。

(張)そうそう、私はもう歳をとって、あまり拳法ができなくなったけど、お二人がいるから大丈夫。日本にも正しい八極拳が定着するよ。

松田隆智氏、李英氏、張世忠氏の三師による鼎談。
松田隆智氏は、八極拳を始めとする中国武術研究の第一人者である。
張世忠氏は、許家福師範より李書文直系の八極拳を学んだ。
また、李英氏は、譚吉堂師範の高弟で、霍殿閣系統の八極拳を受け継ぐ若き拳法家である。

参考:「武術」1984冬季号


拝師・伝統武術家としての依鉢を受け継ぐ

鼎談 八極拳の真実を語る

(以下、敬称略)

(松田)昔は正式弟子になるのが大変だった。現在でも伝統武術家の間には拝師の風習は残っているんですか。

(李)僕のときは、ちゃんと先生に拝師しましたけどね。映画じゃないけれど、先生が真ん中に座って、酒をみんなで飲んで、それで弟子になる学生が通されて、頭をちゃんと地面につけて礼をする。ちゃんとやるんですよ。今は学生の自由で、そういうかたちでやりたい人はやる。先生は別に望まない。

(張)私も許家福先生に拝師した。拝師したら先生は親と同じ。昔は、中国の家の中にはお線香を上げる祭壇があったが、そこには「天地君親師」と必ず書かれていた。

(李)必ず敬わなくてはいけない五つのうちに先生が入っている。天と地と皇帝と親と先生。昔から中国人は大切にする。でも、今はあまり大げさにできにくくなっている。辺りによくないしね。拝師は弟子にとってみれば一つの宣誓ですね。たとえ自分の頭が飛ぶことがあっても、自分は八極門の名誉を守りぬく。

(張)八極拳の伝統を命に代えても守りぬく。

(李)まず、無意味なケンカをしない。悪いことをしない。先生を大事にする。もし先生が歳をとって、生活の面倒を見る人が身近にいなかったら、僕が養老する。

(張)自分の先生は師父、他の先生は師傅と書く。発音は同じだけど字を書くときには区別する。

(松田)よその先生と自分の先生を区別するために。

(張)だから親と同じ。弟子は息子と同じ。

(李)だけど拝師は誰でもできるものじゃない。一般の人は拝師を望んでもダメなんです。先生に誠意が通じた人じゃないと。やっぱり、自分が拝師していないと、いろんな点で不安になるもんですね。

(張)教える方も教わる方も気持ちが違う。

(李)僕は三年目くらい。そろそろ日本へ行かなくちゃいけない頃に、拝師ができました。最初は、先生とそんなに関係が深くないけど、三年くらいたてば、どんな人間かわかる。

(松田)李さんは早い速度でたくさん習ったんでしょう。他の人と比べて。

(李)ヘリコプターみたいだった(笑)。早すぎる。自分でも伝統が重たい。僕は日本に帰るからって無理して先生が教えてくれた。僕はまだ年数が少ないでしょう。それで、二十二年くらい八極拳をやっている趙平という兄弟子といっしょに八大招式と六肘頭を習った。でもあの人が六肘頭やるのと僕がやるのとは、いっしょに習ってもぜんぜん違うよ。あの人はうまい。強い。でも、今の人は昔の人と違って、いっぱい拳法を覚えるのは良くないと思う。

(張)そう。拳法は一つだけ。冲拳ひとつだけしっかりやれば勝てる。きれいな動作を数多く覚えるよりも、強くなれる動作をしっかりと覚える方がいい。

(李)今の日本の若い人は蛇拳をやりたいとか、酔拳をやりたいとかいうのね。ジャッキー・チェンの映画の影響でしょうね。

正しい八極拳を日本に

(松田)なるほど。張先生や李英さんは、日本でカンフーをやっている人たちをどう思われますか?いま、日本では拳法ブームで、いろんな若い人がいろんな拳法をやっているけど。

(李)僕はいっぱい思うことがある。まず体のことからいうと足が弱い。体が固い。たとえば、近所の公園へ朝行くと、小学生くらいの子供とたまにいっしょに練習するけど、びっくりするくらい体が固い。痛いから足を上まで挙げない。体が違うのは、食べ物のせいなのかな?

(松田)最近の日本の若い人は、情報が多いから、すぐに新しい拳法とか新しい套路を学びたがるでしょ。散打などで殴り合いを、もっとやって痛い思いをしなければダメだね。中国拳法には痛い思いをしたくないけど、強くなりたいなどと思っている若者が多くて、苦々しい。本当に体得しようと思ったら命がけだよ。

(李)そう。今の若い人の一番の問題はそこですよ。套路がたくさん欲しい。ひとつ順序が終わるとすぐに次の套路へ進みたがる。

(張)だから強くならない。套路を覚えてから練習がはじまる。套路だけあって練習がない。強くならないよ。

(李)本当は套路を覚える前に基本をやらなくちゃならない。いくら套路を練習しても基本がなければ、「型だけ、型だけ」っていつまでたてもいわれてる。でも、何よりも美しい型が好まれるってのは、やはり映画の影響おでしょう。でも、僕らは俳優じゃないし、人に見せるために八極拳をやってるんじゃない。色々なものをできる必要はないです。本当にその形がうまいかどうかは試してみればすぐにわかることなんですよ。カンフーのない人は、ニ、三発ですぐ…。(笑)それ以上は言えないけど。

(松田)もう言っちゃってるよ(笑)。でも、日本では、あっちの拳法を習ったら、すぐこっちの拳法を習って、ひどいのになると、先生に内緒で同時に何人もの先生について拳法を習っているのもいる。

(李)中国では、そんなことは決して許されないですね。

(松田)卒業前に同時に二人の先生に学ぶのは、学校形式の道場でない限りは、僕の場合(武壇)はそうだったけど、さもなければ先生に対して非常に失礼になる。

(李)僕も他の拳法を勉強したいけど、その力がない。時間もない。自分がやってる八極拳もまだうまくできないのに、他の拳法を習うことはできない。八極拳の深さは、本当に深いですよ。

(張)できたら一回天津にテレビでも撮りに来て、本当の八極拳の見どころを紹介してくれるといい。映画でも八極拳が出てくるのは見たことない。

(李)中国では八極拳の本はまだ出ていない。香港のカンフー映画は南拳ばっかりだし。

(張)八極拳の強さは表に出にくい。カンフーは見えないから。でも、八極拳がすごいということは、日本の方がよく知られている。松田先生のおかげだ。

(李)松田先生の発表で八極拳がどんどん有名になってくるから「八極拳ができる」という人がたくさん出てきた。でも、僕らが見るとウソか本当かすぐにわかる。

(松田)上手とか下手とか関係なく、手の形や立ち方でも、先生について学んだか、どうかはすぐに分かりますね。

(張)動くのを見ればもっと分かる。八極拳の三盤合一による発勁は、先生に正しい指導を受けてないと、まったく功夫(威力)がない。

(松田)今の中国では八極拳を長拳と同じ要領で表演する人が多いですね。足だけドシンと踏み出せば八極拳だと思っている人もいる。八極拳本来の勁道は三盤合一で、足の踏み出し方を変化させることによって、やがては音を立てずに発勁することができる。また発勁の変化に合わせて用法も変化していくが、八極拳の応用変化は瞬間的なもので、誰が考えたのか、実に巧妙だね。

*最後に皆さんの今後について離してくださいませんか?

(李)八極拳が有名になったからといって、僕はあまり世に出たくない。ただ八極拳が好きだから、思い通りに練習を続けたい。

(松田)今まで通り中国武術の歴史と技術の真実を追求して、ハッキリした真実を発表し続けていくだけです。技術に関しては日本人の僕には一代では、年齢的に限りがあるので、次の世代の人達がより正確に発展してくれるでしょう。

(張)そうそう、私はもう歳をとって、あまり拳法ができなくなったけど、お二人がいるから大丈夫。日本にも正しい八極拳が定着するよ。

松田隆智氏、李英氏、張世忠氏の三師による鼎談。
松田隆智氏は、八極拳を始めとする中国武術研究の第一人者である。
張世忠氏は、許家福師範より李書文直系の八極拳を学んだ。
また、李英氏は、譚吉堂師範の高弟で、霍殿閣系統の八極拳を受け継ぐ若き拳法家である。

参考:「武術」1984冬季号

カンフーフィットネス補足

  • 当サイトでは、「カンフー」と「武術」「太極拳」などを同じ意味で使用しています。
  • カンフーフィットネス「スタジオ・タフ」では、現在、このカンフーのクラスはありません。
  • このカンフーの指導ができる者はいますので、ご相談ください。
  • 当スタジオは、カンフーを「フィットネス」(健康医科学的に)としてお伝えしております。
  • カンフーに関する疑問点などがあればお問い合わせください。
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