安全なリフティング(障害を起こしやすい解剖学的構造):腰部、肩、膝

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Ⅳ ウェイトトレーニングのプログラムデザイン

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5 安全なリフティング

5.1 障害を起こしやすい解剖学的構造

骨は疲労骨折や障害を受ける。筋は、筋痛や挫傷、筋断裂を起こす。腱は、損傷や断裂を起こす。靭帯も損傷や断裂を起こす。多くの人体の構造は、それぞれの部位ごとに障害を起こしやすい要因を持っている。

5.1.1 腰部

椎間板ヘルニアの85~90%は腰椎の下部L4とL5の間や、腰部のちょうど脊椎と骨盤が付着している部位、腰椎の一番下(L5)と仙椎の一番上(S1)のところで起こりやすい(図16)。

脊椎

ウェイトをもち上げるときの姿勢としては、真っ直ぐかあるいは少し反っている方が、丸くなっているよりは全般的によい体位である。なぜなら、L5とS1の間にかかる圧力を軽減できるからである。60歳代の人は、40歳代の人が椎間板を痛めてしまう圧迫力の半分の力が加わるだけで障害を受けてしまう。基本的には、ウェイトを持ち上げる動作は腰背部を丸めずに、若干反った姿勢で行うとよいだろう。スクワット動作を行うときに、壁の上のほうを見るように指示するのは、この反った姿勢が保持しやすいからである。頭を上に向けると、自然と腰部が若干反った状態になる。

腹腔内圧は、ウェイトを持ち上げるときに脊椎をしっかり支える役割を果たす。リフティング用のベルトは、腹腔内圧を増加させ、動作の安全性を高めることになる。しかしながら、腹腔内圧を高めるように、脊柱起立筋が収縮力を発揮する能力は、最大負荷よりも軽い負荷で、かつベルトを装着しないでリフティング運動を行うことで養われる。例えば、図17で示したように、腹腔内圧はフルード・ボール(流体のボール)と呼ばれている。

腰部の深部筋群と横隔膜収縮によるフルーッド・ボール

このような状態は、横隔膜の筋と腹部の筋がすべて活動することによって生じ、この剛体化したボールによって脊柱がしっかりと支えられるのである。そして流体のボールが脊柱を支えているおかげで、腰部の筋はそんなに激しく活動することもなく、また椎間板に大きな圧力をかけたりはしない。

腰部の筋には力学的に過剰なちからが加わる。スクワットを行ったり、箱を手で持ち上げたりするときには、2000ポンド(約900kg)もの大きな力が椎間板にかかる。ウェイトリフティング用のベルトを使った先行研究によればベルトの有効性を見出したものは少ない。しかし、面白い報告の1つに、航空会社に勤務する人100名を、ベルトを装着した人と装着しない人に分け、荷物を運搬する作業をさせた報告がある。これによると、結果的に腰痛を訴えた人は、最初はベルトを装着していたが、途中から装着するのが面倒になったため装着しなくなった人たちだけであったと報告されている。ベルトを使うときに最も重要なのは、ベルトに頼らないことである。オリンピックにでるような一流のウェイトリフティングの選手でもベルトを使ってはいない。また使わなくてもパフォーマンスは非常に高い。痛みを訴えた人たちはベルトを使うのに慣れた人が多かったという報告は、ベルトをした状態で重たいウェイトを持ち上げる能力が養成された後に、ベルトを外してしまった場合が考えられる。ベルトを着用するのに慣れてしまったためにベルト無しで動作を行った場合、腹腔内圧を十分に上昇させることができず、障害が起こりやすい状態になってしまったことが推測される。これらのことから、腰部の動きが含まれない運動であれば、ベルトを着用しないことを勧めている。たとえ、腰部の動きが含まれる運動であっても、負荷が大きい時だけベルトを着用し、軽い負荷のときはベルトを使わないほうが良いだろう。

もう一度脊柱の図を見てみよう。脊柱はS字型にカーブしている。脊柱の自然なカーブが保たれている限り、椎間板には何の支障もきたさない。しかし背中を丸めた姿勢をとると、椎間板の前縁部に圧力がかかってしまう。逆に背中を過度に反らせたら、後縁部に圧力がかかってしまう。どちらにしてもよいやりかたではない。自然なS字型の脊柱のカーブが保たれるのであれば、椎間板にかかる圧力は軽減し、障害を起こす危険性も少なくなるであろう。

5.1.2 肩

ウェイトトレーニングのときには肩の形態的な構造と持ち上げるときにかかる負荷によって、障害が発生しやすい。股関節が安定した臼関節であるのに対し、上腕骨頭を保持する肩甲骨関節窩が浅く、非常に不安定な構造となっている。また肩には、多くの筋の起始点がある。そのため筋が炎症を起こすとその周辺にまで影響してくる。特にベンチプレスやショルダープレスなどでは、肩に大きな負荷がかかるため、注意しなければならない。

5.1.3 膝

膝は、大腿と硬いという2本の長いレバーを連結しているために障害を起こしやすい。膝の中でも特に半月板とそのまわりの組織は、ウェイトトレーニングによってかかる負荷により痛めやすい。ウェイトリフターに関わっているトレーナーは、膝に厚いサポーター(ニーバンテージ)を巻くことによって皮膚の損傷や、膝蓋軟骨軟化症の助長などが起こりやすいことを指摘している。なお、サポーターを巻くことによって、動作中にバネ的な効果も起こってくる。


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