運動処方の実際 運動処方と運動プログラムの作成

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4 運動処方と運動プログラムの作成

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4.8運動処方の実際

代謝量を求める式を使って、クライアントに対する運動処方を作成する際の5つの例を示す。

4.8 例1

クライアントに対して最大負荷テストを行った結果、9METsとかなり低い値が出たとする。そして体力レベルを考慮して最大酸素摂取量の40%を運動強度に設定する。もちろん前にも述べたように、健康な人に対しては、最大酸素摂取量の50~85%を運動強度とするのが一般的であるが、体力レベルが低い人の場合は、40%くらいの低めの運動強度にする。このクライアントに対しては、ウォームアップから徐々に運動強度を上げ、1マイル(約1.6km)のコースを歩いた後、クールダウンに入るプログラムを考える。そこで、この1マイルの歩行を何分で行うかを考えなくてはならない。これこそ、クライアントに対する運動処方をする際の問題の1つなのである。ある運動強度を維持するために、1分間に平均してどのくらいの距離を歩くかを決めることがパーソナルトレーナーの役目である。この人の場合、最大酸素摂取量が9METs、つまり体重1kg当たり31.5ml/分であり、最大酸素摂取量の40%は、体重1kg当たり12.6ml/分となる。歩行の式から考えると、12.6ml/分から安静時の酸素摂取量3.5を引いた9.1ml/分を0.1で割った値、91ml/分が、歩く速度に相当する。時速1マイルは、分速26.8mと等しいので、91を26.8で割ると、時速3.4マイル(約5.5km)になる。60分を3.4マイルで割ると、1マイルを17.6分で歩く速度と等しいことがわかる。そしてクライアントに対しては、1マイルのコースを約17分間で歩くように指導すれば良い。これが、歩行の式の応用の例である。

4.8 例2

また歩行でも、トレッドミル歩行の例を考える。もし体重が170ポンド(約77kg)で、これまでトレッドミル歩行を行ってきたクライアントがいたとして、10分間の運動を行うように強度を設定する。この人は、ふだん時速3.5マイル(約5.6km)で歩いている。トレッドミルの傾斜はどのくらいにしたら良いであろうか? 運動強度は、10METs、つまり酸素摂取量にすると体重1kg当たり35mlに相当する。安静時の酸素摂取量は既にわかっており、この場合速度も決まっているから、水平方向への仕事のための酸素摂取量もわかっている。これらを35mlから引いた値が、%で表した傾斜に歩行速度と1.8を掛けたものに等しくなれば良い。そうすると、この式により傾斜は0.131、つまり13%と求められる。このクライアントの場合、10METsの運動をしたい場合は、時速3.5マイルで13%の傾斜をつけたトレッドミル歩行を行うことになる。

4.8 例3

もし、6ヶ月のランニングを続けて、最大酸素摂取量が体重1kgあたり50mlになった人がいて、今度は屋内で傾斜のついたトレッドミルでの走行を6マイル(約9.6km)で最大酸素摂取量の80%に相当する強度で行いたい場合、傾斜はどのくらいにしたら良いであろうか。最大酸素摂取量の80%は40mlであるから、40から3.5を引き、それをm/分で表した速度を0.2で割ると、4.34となる。4.34を更に速度と0.9で割ると、傾斜が求められる。計算の結果、0.029、つまり傾斜3%で走ると最大酸素摂取量の80%になる。

4.8 例4

35歳のクライアントの最大酸素摂取量が、最大負荷テストから11METsとわかり、この人に最大酸素摂取量の運動を処方する場合を考える。最大酸素摂取量の70%という強度は、この人の体力レベルから考えて適当である。またこの人の体重は70kgで、今まで75ワットの負荷での自転車こぎを行ってきたという。ではこの今まで行ってきた運動が、最大酸素摂取量の70%に値するかどうかを調べる。まず11METsの70%は、体重1kg当たり27ml/分である。そこで脚のエルゴメーターによる運動の式を使うために、27ml/分に体重の70kgを掛ける。また自転車こぎの負荷を75ワットから450kgmに換算する。ワットをkgmに換算するには、6倍すればいいことを憶えておこう。そして450に2を掛けて負荷に抵抗するための酸素摂取量を求め、それに安静時の酸素摂取量(体重に3.5を掛けたもの)を加えると、1145ml/分となる。これを体重1kg当たりにすると、16.4ml/分になる。そこで、この人の最大酸素摂取量の70%である27ml/分から16.4ml/分を引くと、その差は10.6ml/分すなわち約3METsとなり、不足する分の消費エネルギーが求められる。

4.8 例5

これまで3ヶ月間、歩行による運動を継続し、最大酸素摂取量も10METsになった人の場合である。彼女は、次に踏み台昇降運動のクラスに入ろうとしていて、彼女が使う台の高さは12インチ、歩調は26歩/分であった。彼女がしようとしている運動は、体力レベルに合った強度の運動であろうか。まずインチで表された台の高さに0.0254を掛けて、台の高さの表示をインチからメートルに換算すると、0.3048mとなる。水平方向への仕事による酸素摂取量は、歩調の0.35倍、すなわち26に0.35を掛けた値になる。鉛直方向への仕事による酸素摂取量は、台の高さ0.3048に、歩調の26と、1.33と1.8を掛けた値になる。その結果、水平方向への仕事による酸素摂取量は、体重1kg当たり9.1ml/分、鉛直方向への仕事による酸素摂取量は、18.97ml/分となり、この運動の酸素摂取量は全体として約28ml/分ということがわかる。この人の最大酸素摂取量は、35mlであるから、この踏み台昇降運動の強度は、最大酸素摂取量の約80%となる。しかし実際の踏み台昇降運動のクラスでは、腕の運動などが加えられるため、間違いなく80%よりも高い運動強度になる。よって、この運動はクライアントにとっては適当でない運動ということになる。そこで、この人の身体の状態に基いて、もう少し低い台を使うことによって、彼女は踏み台昇降運動のクラスに参加することができるであろう。


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カンフーフィットネス補足

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